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オウブンシャホールディング事件

私は、来春から大学院へ参ります。

研究テーマは、租税回避とあげております。

で、入学前に時間があればと、学校から送られてきた判例があります。

「オウブンシャホールディング事件」

全部で、100ページくらいあるんですけど!判例なんて読んだことことないんですけど!と思いつつ、ここ数週間かけて読んでみました。

概要

事件の概要は、オウブンシャホールディンが保有する有価証券を国内で売却したら、時価課税されるので、100%出資の外国法人を使って、税金を軽減しようとした事件です。

裁判までの流れ

まず、オウブンシャHD(以下O)が、オランダに100%出資子会社Aを創立

この際の出資は、含み益を有する株式による現物出資と、現金出資となります。発行株は200株。通常、この含み益に対して譲渡益が生じ、法人税の課税の対象となりますが、その当時(現在削除)は法人税法51条によって、譲渡益部分につき損金経理したら、損金に算入できますよ、つまり簿価譲渡でOKとなっていました。

次に、オウブンシャHDの株式の約50%を保有する財団が、これまたオランダに100%出資会社B社を設立。

設立と同時に、A社株主総会決議によって、第三者割当が決定、3000株を発行し、B社がすべて引き受けました。この際の増資は有利発行です。

課税当局は、この行為をO社からB社への資産の無償の譲渡と認定、含み益部分に対して、法人税を課すぞ!と、更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分を行ったのです。

これに対し、国税不服審判所に審査請求、裁判という流れになります。

国側処分の根拠法令

国側の処分の根拠法令は、主位的主張を法人税法22条で、法人税法132条を補助的主張としていました。

地裁

地裁では、原告(納税者側)の勝利という判決が下されました。

理由は、A社とB社との間の資本等取引なので、A社の株主であるO社は関係ない。

株主総会で決議しただけ、行為をおこなったのはA社。

従って、原告に課税することはあり得ない。

というようなものです。

高裁

これに対して、高裁は、地裁の判決をひっくり返して、国側の勝利という判決がくだされました。

理由は、A社の資産のO社持分に対して、含み益があり、その含み益がO社からB社に移ったのだから、O社とB社の取引、当該O社の含み益部分に課税します!というものです。

法人税法は、株主からの出資を元手に運用した利益(所得)部分に課税され、株主からの出資については課税されません(資本等取引)。

地裁がいうように、B社からA社への出資の払込という行為に対して、O社に課税が及ぶのは違和感を感じます。

しかし、こう考えると納得できます。

日本の法人税の考え方は、法人は個人株主の集合体。なので、株主の出資に対して課税されず、その元手を運用した所得に法人税が課される。元手部分は株主のもの。

今回の有利発行は、A社の1株あたりの資産価値(時価)1.4億に対し、実際に払い込まれた金額は6万円程度です。

増資前のA社の資産価値が約272億。これ基本的に原告のものですが、増資後のA社の資産価値は約17億(272億×200株(O社保有)/3200(発行済株式))

272億⇒17億にO社の持ち分が減少しています!

そして、255億は、1.8億程度の出資で発行済株式の94%程度を得ることができたB社に移転したのです。

最高裁はこの実際には生じていない利益の移転に目をつけて、無償による資産の譲渡と認定、法人税法22条2項により課税という判決をくだしました。

最後に

判例はじめて読んでみました。上の分はあっているかどうか不明です。参考にもならないかもです、もう一回読んでみますが、判例って難しい・・・